低用量ピル（OC）とは

エストロゲン（卵胞ホルモン）とプロゲステロン（黄体ホルモン）という2種類の女性ホルモンの合剤で、ほぼ100％避妊が可能です。その他、月経痛・月経不順・月経前症候群改善などのメリットもあります。また子宮内膜症や月経困難症の治療薬としては保険適応になっています（保険で処方するピルをLEP製剤とよび、OCとは区別しています）。当院では低用量ピルの診療は、OC/LEPガイドライン(日本産科婦人科学会)に基づいて行っています。

OCの服用方法・処方の実際

OCの服用方法

月経の始まった最初の日曜日から飲み始めます（サンデースタート）。飲み始めの1週間は他の避妊法を併用する必要があります。

OCの処方の実際

• 問診

  問診票にご記入いただき、ガイドラインに準拠して、ピル内服の適否を診断します。
  35才以上で1日15本以上タバコを吸う方は、血栓症のリスクが高いため服用できません。

• 診察

  血圧測定を行います。通常内診や他の検査は行いませんが、必要に応じ行う場合があります。
  医師および看護師による副作用や注意事項等の説明、服薬指導を行います。
  ピルにも種類があり、それぞれ使用目的によって使い分けを行いますが、メーカーがいうほどの差はないようです。

• 定期検診

  飲み始めの最初の3ヶ月は、毎月来院していただき副作用等のチェックを行います。
  以後は必要に応じ、診察・検査を行います。
  服用中の疑問点がありましたらスタッフにお尋ね下さい。

当院で処方している低用量ピル

• OC

  トリキュラー・ファボワール

• LEP

  フリウェルLD/ULD、ジェミーナ・ヤーズ・ヤーズフレックス

連続服用が可能なピル

月経回数を減少させることで、より効果的に月経痛を緩和することが可能です。不正出血が起きやすいというデメリットもあります。

• ジェミーナ：第2世代のピルで、77日間連続で服用、その後7日間休薬します。
• ヤーズフレックス：第4世代のピル、最長120日間連続服用、その後4日間休薬します。服用中に3日間連続出血した場合は、4日間休薬する必要があります。

静脈血栓症

ピル内服中の血栓症の発症はまれではありますが、いったん発症すると重篤化する場合があります。
海外の疫学調査によると、ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間1万人あたり1～5人であるのに対し、ピル服用女性では3～9人と報告されています。一方、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間1万人あたり5～20 人および40～65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較するとピルによる血栓症の頻度はかなり低いことがわかります。
またピルを中断再開すると、静脈血栓症の高い発症リスクを再びもたらすので、中断しないほうがよいとされています。
ピル内服中に以下の症状を認める場合には医療機関を受診してください。

• A

  abdominal pain (激しい腹痛)

• C

  chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)

• H

  headache(激しい頭痛)

• E

  eye / speech problems(見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害)

• S

  severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)

製薬会社くすり相談窓口のご案内

• フリウェルLD/ULD、ジェミーナ

  あすか製薬株式会社 くすり相談室
  tel. 0120-848-339
  月～金曜日　9:00～17：30(祝日、会社休日をのぞく)

• トリキュラー、ヤーズ/ヤーズフレックス

  バイエル薬品株式会社 くすり相談
  ヤーズ専用ダイヤル tel. 0120-113-225
  ヤーズフレックス専用ダイヤル tel. 0120-822-091
  トリキュラー専用ダイヤル tel. 0120-554-177
  365日24時間

• ファボワール、レボノルゲストレル

  富士製薬工業株式会社 富山工場/学術情報課
  tel. 0120-956-792
  月～金曜日　9:00～17:00(祝日、会社休日をのぞく)